2025.06.23
対岸の火事
日本郵便は、全国の郵便局で法定の点呼業務に不備があった問題で、トラックなどの運送許可を取り消す行政処分を受け入れることを発表しました。
点呼業務とは、乗車前の運転者の健康状態や飲酒の有無を確認するもので、法令で実施が義務付けられています。問題発覚後の調査によると、全国3188の郵便局の75%にあたる2391の局で不備があったようです。
このニュースを受けて私たちは条件反射的に「けしからんな」と思うのですが、この問題は決して対岸の火事ではありません。
一定の台数以上の自動車を使用する事業主は安全運転管理者を選任する必要がありますが、令和5年12月より、安全運転管理者によるアルコールチェックが義務化されました。アルコールチェックとは、運転者の酒気帯びの有無の確認を「アルコール検知器」を用いて行うことで、その記録は1年間の保存義務があります。「一定の台数以上」とは、乗車定員が11人以上の自動車1台以上若しくは、その他の自動車5台以上を指します。
社用車が1~2台程度の規模の事業所などは義務化の対象外ですが、幼稚園や保育所、認定こども園の園児を送迎する、いわゆる「園バス」は乗車定員が11人以上であることは珍しくなく、当然義務化の対象です。アルコールチェック義務化に違反した場合、直接的な罰則は設けられていませんが、安全運転管理者の業務違反と見なされ、是正措置命令や解任命令が出される可能性があります。
ただ、罰則がないからといって甘く考えてはいけません。通常、この手の違反が露見するときは何か事件が起こったときです。何かが起こったときに、運転手が酒気帯び状態であったことが分かり、アルコールチェックも実施していなかったとなると、罰則はなくとも想像を絶する社会的な制裁を受けることになるでしょう。
近年、飲酒運転には非常に厳しい目が向けられています。悲しい事故を起こさないためにも、凡事徹底といきたいものです。
名古屋支店 山口 征司