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2025.06.30

取れそうな助成金

 九州で結婚式場を運営していたアルカディアという企業が破産手続き開始の決定を受けました。コロナ禍によく耳にした「雇用調整助成金」の不正受給が明らかになり、企業イメージ悪化の末の破産のようです。

 

 社会保険労務士の仕事をしていると、タイトルにもある「うちに取れそうな助成金があったら提案してください」という言葉を投げかけられることがよくあります。この「取れそうな助成金」は「書類を揃えて申請したらもらえるお金」と同義で使われることが多く、まだまだ助成金本来の目的が世の中に浸透しているとはいえません。

 

 助成金の目的は、景気悪化により雇用を確保できない企業や、労働環境の整備ができない企業に向けて雇用や労働環境、労務問題などの整備・改善を支援することにあります。前述した雇用調整助成金や、非正規雇用を正規雇用に転換するキャリアアップ助成金などがそれに当たります。

 

 助成金の額は数十万円になることも珍しくなく、事業所にとっては大きい金額であるため、受給に向けて要件と実態を擦り合わせる作業があること自体は否定しませんし、社会保険労務士が提出の代行を行う場合は受給金額の〇%という手数料が発生することも多いため、助成金には社会保険労務士の立場からもビジネスの側面があることも事実です。

 

 しかしながら、助成金は企業の経営や採用計画の実行を後押しするためのもので、申請したらもらえる夢のようなお金ではありません。綺麗ごとを言いたいわけではなく、「助成金に寄せすぎる」行為には注意が必要です。「受給要件と実態を擦り合わせる作業」と、「助成金に寄せる行為」の線引きは本当に難しいと思いますが、確実にいえることは、助成金はリスクを冒してまで取りに行くものではないということです。

 

 コロナ禍における雇用調整助成金や持続加給付金は多くの不正受給が発覚し、現在も調査中の案件も多いようです。不正受給者には競艇選手や競馬騎手なども含まれており、大きく報道されました。失うものが大きすぎるからというわけではないですが、助成金は無理をして取りに行ってはいけません。自社の状況と助成金の主旨がマッチングしたときに適切に活用しましょう。

 

 最後に矛盾するようですが、ゆびすい労務センター(https://yubisui-r.jp/subsidies/)ではもちろん助成金についての相談が可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

名古屋支店

特定社会保険労務士 山口征司

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