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2025.06.24

見せしめ

 フリーランス法に違反したとして、出版大手の小学館と光文社が公正取引委員会より再発防止勧告を受けました。フリーランス法とは、令和6年11月に施行され、発注元に対して不当な圧力に繋がりかねない商慣行の見直しを求める内容です。この法律におけるフリーランスとは、「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」と定義されています。

 

 一般的な企業では、この法律でいう所のフリーランスに業務を委託するような機会は少ないかもしれませんが、幼稚園や保育園においてリトミックや英会話を外部に委託している場合や、行事の写真撮影をカメラマンに依頼している場合は、相手方がフリーランスである可能性は十分にあります。

 

 この法律では、取引条件の明示や支払期日の順守を義務付け、買いたたき等の商慣行の見直しを発注元に求めています。しかし、もう少し詳しく中身を確認してみると、発注元の事業規模や委託する業務の期間によっては、「育児介護等と業務の両立に対する配慮」や「ハラスメント対策に係る体制整備」といった項目までもが発注元に義務付けられています。

 

 フリーランス法では、主に発注元がフリーランスとの取引において不当な行為をした場合に罰則が適用されます。今回の小学館や光文社のように再発防止の勧告を受けているにも関わらず改善しなかった場合には、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。ちなみに、フリーランス側には直接的な罰則はありません。

 

 今回の事案では支払期限が曖昧になっていたことが問題視されたようですが、国が「フリーランスとの関係を見直す機会にしてください」というメッセージを日本の全事業所に届けるために小学館と光文社が見せしめにされたような気がしてなりません。

 

名古屋支店 山口 征司

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