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2025.06.25

高齢者の奪い合い

 厚生労働省は、相談員を手厚く配置する「課題解決型」のハローワークを今年度に12カ所設置し、従来の6カ所から3倍の18カ所にしました。働きたいと望む高齢者が増えているものの就職の壁は高く、求人企業と求職者の橋渡しをするのが狙いのようです。

 

 少子化や生産年齢人口※の減少の問題が叫ばれて久しいわけですが、人手不足の問題はある日突然改善することはなく、解決策としては、国の中長期的な少子化対策に期待しつつ外国人労働者を受け入れるか、従来は引退していた層(高齢者)に活躍してもらうか、ということになります。

 

 私が勤務する事務所の近くのコンビニは、時間帯によっては従業員が全員外国人のことがあります。多少日本語が覚束ない所はありますが、皆立派にコンビニ店員の仕事をこなしています。自分が外国のコンビニで活躍できるかと考えると、絶対に出来ませんので、商品を受け取る際には、惜しみない敬意をを込めて「ありがとう」を伝えるように心がけています。しかし、まだ外国人労働者を受け入れる環境が整っていない事業所も多く、そういった事業所にとっては、人手不足は喫緊の課題として解決すべき問題であることは間違いありません。

 

 日本の事業所は長らく60歳を定年として設定している会社が多く、老齢年金の受給開始年齢も60歳でしたが、近年は継続勤務を希望する労働者を65歳まで雇用(再雇用)することが事業所に義務付けられ、老齢年金の受給開始年齢の経過措置も間もなく終了し、65歳からで固定されます。

 

 ある企業が60歳から64歳の男女にアンケートを取った所、「あと10年働きたい」という回答が多かったようです。高齢者は、若年労働者に比べて体力面や健康面の不安が付きまといます。一方で長い年月で蓄えられた知識や経験が宝の持ち腐れになっている高齢者が少なからず存在するのも事実です。

 

 労働への意欲と能力が備わった65歳以上の高齢者を事業所が奪い合う時代が近づいているように思えます。前述した通り、日本は「60歳定年65歳まで再雇用」を採用している事業所が多いので、今の段階から65歳以上の高齢者を迎え入れられるよう、就業規則や給与規程の改正を検討しても良いのではないでしょうか。

 

※15歳以上65歳未満の人口

 

名古屋支店 山口 征司

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