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2025.06.26

男女問題はいつも面倒だ

 ある企業が実施したインターネットアンケートによると、職場恋愛の経験者は4割を超えているそうです。また、職場恋愛を経て結婚に発展したカップルはそのうち24%で、これが多いのか少ないのか、私には分かりません。

 

 恋愛には脳内物質の分泌を促し、学習能力や記憶力、やる気を高める効果があるらしく、また、ストレス緩和や幸福感をもたらす効果も期待できるようです。更には、恋愛を通じて自己肯定感や自信が高まり、他人とのコミュニケーション能力が向上するという効果まであるようですので、基本的には恋愛することのメリットは多いように思えます。

 

 しかし、これが一方若しくは両方に配偶者がいる状態での社内恋愛(不倫)である場合にも同じことがいえるでしょうか。

 

 不倫は社員の個人的な問題であるため、原則として会社運営とは切り離して扱う必要があり、不倫の事実があったからといって会社が直ぐに干渉することはできません。しかし、社内不倫が公になった場合、会社にとってプラスの面はなく、むしろ企業秩序を乱したとして当事者に対する懲戒処分を検討したくなってしまいます。では、社内不倫を理由に当事者たちに罰を与える(懲戒処分を下す)ことができるのでしょうか。

 

 会社にとっての法は就業規則であり、会社における権利や義務、賞罰の根拠は就業規則に依る必要があります。これは絶対です。

 

 では、就業規則の懲戒項目に、「社内不倫は禁止とする」という主旨の条文を規定した場合、それが全ての社内不倫を処分する根拠となるのでしょうか。

 

 会社にとっては悩ましい問題ですが、会社が懲戒処分を有効に行うためには、社内不倫の事実のみでは足りません。それが実際の業務を阻害し、企業秩序を現実に乱したと認められる必要があります。そしてこれらを客観的に証明するのは会社側の役割であることからも、社内不倫即懲戒処分は難しいというのが現実です。

 

 社内不倫のパターンは、年上の男性上司(先輩)と年下の女性部下(後輩)という組み合わせが最も多いようです。社内不倫が裁判に発展した事案において、裁判所は「強く自制を求められるのは上司の方」と公式に示しています。実際に皆さんの会社で不倫問題が発生し風紀が乱れた時の考え方の基準としても良いかもしれません。

 

名古屋支店 山口 征司

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