2025.07.07
オンラインカジノと懲戒
社会問題化するオンラインカジノ
連日報道されているオンラインカジノ問題。
一般人だけでなく、プロスポーツ選手やテレビ局のアナウンサーまでもが、その“魅力”にとりつかれています。
中にはサラリーマンが数千万円をつぎ込んだ例もあり、その金額の大きさに驚かされます。
一方で、そんな大金をどのように用意したのかも気になります。
借り入れに関しては、貸金業法の「総量規制」により、原則として年収の3分の1までしか借りられません。
いったい、どこから資金を調達しているのでしょうか。
「呼吸をするようにギャンブル」―依存の深刻さ
実際にオンラインカジノで数百万円の借金を抱えたという体験談には、依存の恐ろしさが描かれていました。
信号待ちの時間、子どものブランコを押している間、仕事の合間
――生活のすき間すべてをギャンブルに捧げていたと言います。
最終的には家の貯金を使い果たし、配偶者に打ち明けざるを得なかったという結末でした。
勤務外のオンラインカジノは懲戒の対象か?
では、もし自分がオンラインカジノに手を出してしまい、
その事実が会社に知られたら、何らかの処分を受けるのでしょうか?
この点については、過去に執筆した社内不倫に関するコラムでも触れましたが、
原則として「勤務時間外の私生活上の行為」を理由に、会社が従業員を処分することはできません。
つまり、オンラインカジノに手を出した“だけ”では懲戒処分の対象にはならないのです。
会社の金に手を出せば懲戒も
ただし、話は勤務時間中にギャンブルを行っていた場合や、会社の金銭に手を付けていた場合は別です。
この場合は「職務専念義務違反」や「横領」などに該当し、懲戒処分の対象になり得ます。
また、会社側としては、懲戒処分を行うには就業規則に「懲戒事由」への明記が必要です。
たとえば「会社に財産上の損害を与えた場合」などの条文がなければ処分は難しい。
オンラインカジノに限らず、近年では予想もしなかったような事案が次々と起きています。
就業規則は毎年、少なくとも数年に一度は見直すことをお勧めします。
ギャンブルは「利子つきで返す楽しみ」?
ちなみに、私自身も過去に競馬で良い思いをしたことがあります。
しかし最終的には、利子をつけて日本中央競馬会に返還することに…。
ギャンブルの怖さは、やめるきっかけを失うこと。
依存を断ち切る勇気を持ち、違う楽しみを見つけることが、健全な生活には必要かもしれません。
名古屋支店
特定社会保険労務士 山口征司
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