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お知らせ・コラム

2025.08.29

なぜ今、「お金の研修」をする企業が増えているのか

「また研修か…」と肩を落とす社員。
でも、もしテーマが“お金”だったらどうでしょう?
「103万円の壁って結局どういうこと?」「NISAって聞いたことあるけど何?」

――そんなリアルな疑問に答える場なら、居眠りどころか前のめりで参加してくれるかもしれません。
研修のマンネリ打破の一手、それは意外にも“金融教育”なのです。

広がる「リスキリング」ブームと企業研修の現実

近年、「リスキリング(学び直し)」という言葉が注目を集めています。

企業が従業員のスキルアップやキャリア開発を支援する動きは広まり、研修制度の導入も盛んです。

実際、労働基準法の基礎やハラスメント対策といった法務系テーマでの研修は多くの企業で実施されています。

もちろん、これらの内容は重要ですが、一方で「仕事の延長線上」と捉えられ、

義務感で受講している社員が多いというのが現実ではないでしょうか。

“自分ごと”として関心を持ってもらえるテーマとは?

そんな中、「もっと前のめりで参加してもらえる研修テーマはないか?」

と考えたときに浮かび上がるのが “お金” に関する学びです。

昨年は定額減税の話題が取り上げられ、さらに「103万円の壁」の見直し議論も注目を集めました。
ですが、これらを正確に理解している人は意外に少ないのが現実です。

社会保険労務士の仕事をしているとお客さまより、

「103万円、130万円の壁って結局どういうことですか?」

「いくらまで働いても損しないんですか?」

といった質問が頻繁に寄せられます。

質問の背景には「お金の不安」がある

これらの質問の多くは、単なる知識不足ではなく、「お金に関する将来への不安」から来ていると感じます。

たとえば、

  • 「税金や社会保険の仕組みが分からない」

  • 「扶養の範囲を超えると、損するのでは?」

  • 「投資は気になるけど、誰に聞いていいか分からない」

こうした漠然とした不安を抱えたまま、誰にも相談できずに働いている社員がいるのは確かです。

実は、企業ができることはたくさんある

現在、企業型確定拠出年金(DC)を導入している事業所には、従業員への投資教育が義務化されています。
これは、国が「お金の知識=金融リテラシー」を重視している証拠です。

しかし、DCを導入していない企業が金融教育をしてはいけない、という決まりはありません。
むしろ、今こそ“お金の学び”を福利厚生として提供するチャンスと捉えるべきです。

金融教育を通じて会社への信頼が生まれる

会社が従業員に「お金について安心して相談できる場」を提供してくれたらどうでしょう?

社員は、「この会社は自分たちの暮らしも考えてくれている」と感じるはずです。
その結果、

  • 会社への信頼感が高まる

  • 将来への不安が軽減される

  • 離職率の低下にもつながる

といった好循環が生まれる可能性があります。

社労士・FPとしての提案

私が過去に行った研修や相談会では次のようなテーマが好評でした。

  • 「扶養の壁」を正しく理解する

  • 給与明細から学ぶ社会保険と税金の仕組み

  • NISA・iDeCoなど制度の基本と活用法

  • 老後資金・教育資金の考え方

  • 家計の見直しワークショップ など

いずれも「暮らしに直結した知識」であり、社員にとっての実利が大きいため、

真剣に聞いてもらえるのが特徴です。

お金の教育は、これからの企業の“当たり前”に

金融教育は、もはや一部の大企業や金融機関だけのものではありません。
中小企業こそ、“人”が財産です。

「お金のことを相談できる会社」――
そんな職場環境を整えることが、今後の企業経営における差別化の一手になるかもしれません。

 

名古屋支店 

特定社会保険労務士 山口 征司

 

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