2025.09.01
「皆が言っています」は通用しない — 懲戒処分で大切な証拠の話
労務相談でよくある「懲戒処分したい」問題
社労士のもとには日々、さまざまな労務相談が寄せられています。
中でも最近増えているのが、従業員の懲戒処分に関する相談です。
「〇〇さんの態度が悪く、皆が迷惑しているから辞めさせたい」や「何度注意しても改善されない」といった声が多く聞かれます。
懲戒処分の適法性は「証拠」がすべてを決める
しかし、「皆が言っている」「何度も注意した」というだけでは懲戒処分は正当化できません。
懲戒処分は社員の大切な権利を制限するため、適法に行うには客観的な証拠に基づく事実認定が不可欠です。
証拠が不足していると、処分が無効になるリスクもあるため注意が必要です。
有効な証拠とは?
業務改善命令書など、指導の記録が文書化されているもの
始末書や反省文など、本人が書いた書類
メールやチャットのやり取りのログやスクリーンショット
監視カメラの映像記録
面談や話し合いの議事録やメモ
日常の労務管理でできること
問題が起きたら日時・状況をできるだけ詳細に記録する(メモでもOK)
重要なコミュニケーションは文書やメールなど証拠として残す
証拠があればトラブル回避につながる
適切な証拠が揃っていれば、懲戒処分の正当性を示すことができ、不当な主張やトラブルを防げます。
反対に証拠が不十分なまま処分すると、労働審判や裁判に発展した場合、会社が不利になる恐れがあります。
懲戒処分においては「証拠(裏付け)が全て」です。
日頃から証拠を残す習慣をつけ、正当な懲戒処分を心がけ、処分後のトラブルを未然に防止しましょう。
名古屋支店
特定社会保険労務士 山口征司
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