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2025.09.19

パワハラは防げる人災──職場改革への道しるべ

化粧品会社で働いていた女性が、社長からのパワーハラスメントを受けた末に亡くなった事件で、

東京地裁は社長の辞任と1億5千万円の賠償を含む和解案を決定しました。

遺族の思いと裁判所の判断は、職場環境の見直しと再発防止に向けた重要なメッセージを私たちに投げかけています。

事件の概要

亡くなった元従業員は、先輩従業員との職場トラブルを理由に社長から一方的な叱責を受け、

「野良犬」と罵倒されるなど深い精神的苦痛を受けました。

翌年うつ病を発症し休職に入りますが、休職期間満了を理由に解雇。

その後、自ら命を絶ち、意識が戻らないまま亡くなりました。

労基署は社長の言動をパワハラと認定し、労災として認めました。遺族は提訴し、今年に入り調停で双方が合意しました。

異例の決定

今回注目されるのは、金銭解決にとどまらず「社長の辞任」が調停案に盛り込まれた点です。

詳細は報じられていませんが、遺族の強い意志が伝わります。

会社はWebサイトで謝罪文を公表し、ハラスメント防止規程の見直しや再発防止策を発表しました。

ハラスメントは人災

この10年間で各種ハラスメントに対する企業や従業員の意識は高まり、社内研修も活発に行われています。

しかし、依然として意図的なパワハラや、無自覚に生まれる組織文化由来のハラスメントは後を絶ちません。

人の行動が原因である以上、理論上撲滅することは可能ですが、容易ではありません。

だからこそ企業・個人ともに不断の努力が求められます。

誰も得をしない結末から学ぶ

辞任した元社長は、就任時にこんな形で退場することになるとは想像していなかったでしょう。

遺族にとっても、1億5千万円の賠償を受け取って喜べるはずがありません。

企業イメージも大きく損なわれ、消費者の心情にも影を落としています。

つまり、この事件で得をした人は一人もいないということです。

継続的な取り組みの必要性

ハラスメント防止は、年に一度の研修や一時的なキャンペーンで完結するものではありません。

定期的なアンケートや匿名相談窓口の整備、管理職教育のアップデートなど、企業文化として根付かせる継続的な仕組みが不可欠です。

今回の事例を教訓に、日々の職場で小さな変化を積み重ねることで、ようやく安全で健全な環境が実現していきます。

 

名古屋支店

特定社会保険労務士 山口征司

 

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