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2025.12.12

“経歴の隠し事”は内定取り消しの理由になる?裁判の新しい判断基準

経歴や賞罰などを隠して就職の内定を受けた場合、企業が内定を取り消しても裁判で認められにくい、いわゆる「司法の壁」がありました。
しかし最近、その流れに変化の兆しが見えています。
日経新聞によると、経歴詐称を理由に内定を取り消された男性が企業を訴えた裁判で、裁判所が企業側の判断を認める判決を出しました。

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どんな裁判だった?

ざっくり言うと、「履歴書の半分が経歴詐称、内定取り消しは有効」と裁判所が認めた、というものです。

中途採用でアクセンチュア日本法人の内定を得た男性は、履歴書に「個人事業主としてITソリューションのサポートをしていた」と書いていました。

ところが調べてみると、実際は2社に雇われ、雇い止めや解雇トラブルまで抱えていたことが判明します。

会社は「重大な経歴詐称」と判断し、内定を取り消しました。

「能力に問題はないし、書かなかったことはささいなことだ」「自分から解雇されたなんて言えない」と男性は裁判で訴えましたが、

地裁・高裁・最高裁まで、すべて会社側の勝ち。

履歴書の“半分”を偽った代償は、あまりにも大きいものになりました。

「内定」とは“条件付きの雇用契約”

法律上、内定は「始期付き解約権留保付き雇用契約」とされています。
少し難しい言葉ですが、要するに「〇月〇日から雇う」という時期が決まっていて、特定の条件が起きたら取り消せる契約のことです。

たとえば、

  • 入社前の健康診断で重大な問題が見つかった

  • 経営が悪化して採用計画を見直した

  • 履歴書や経歴に虚偽があった

といった場合に、会社は“採用をなかったことにできる”権利を持っています。

とはいえ、これまでは「取り消し」に厳しい判断

これまでは、「経歴詐称なら取り消せる」と単純には言えませんでした。
最高裁は、「内定時に知り得なかった事実で、取り消しが客観的に合理的で社会通念上相当な場合」のみ認めるとしています。

つまり、会社がきちんと調べていれば防げたようなケースでは、企業側の取り消しが認められないことが多かったのです。

46年ぶりの“新しい解釈”

これまで裁判所が取り消しに慎重だったのは、「新卒が内定を失うダメージが大きい」という日本的雇用の背景がありました。
しかし、転職が当たり前になり、終身雇用が前提でなくなった今、事情は変わっています。

今回の判決では、

  • 企業秩序の維持に支障が出る場合

  • 職場の信頼関係を保てないような性格・行動が見られる場合

に限り、内定取り消しを認めるという判断を示しました。

これは、従来の「新卒前提の考え方」に一石を投じる内容です。

「取り消せる」=「取り消していい」ではない

最近では、教員免許の偽造など、資格を前提にした採用で問題になる例も見られます。
確かに今回のような判決で「内定取り消しが認められる可能性」は広がったかもしれません。
でも、それを理由に勢いで判断するのは危険です。

内定取り消しは、企業にとっても候補者にとっても大きな決断。
法的に正しくても、社会的な印象や信頼関係への影響を考えると、慎重さが求められます。

司法の考え方が少しずつ変わりつつある今こそ、企業も「採用のあり方」を見直すタイミング。
採用前のチェック体制を整えつつ、人を信じて雇う姿勢も忘れないようにしたいところです。

 

名古屋支店

特定社会保険労務士 山口征司

 

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