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2026.02.02

二人で払えば大丈夫、の落とし穴

人生最大の買い物といえば、やはり住宅。これは多くの人が異論のないところでしょう。

もっとも、現金一括で買える人はごく少数。ほとんどの人は住宅ローンを組むことになります。

住宅ローンについては、以前のコラムでも「返済方法の工夫」を取り上げましたが、今回はそれとは少し違う視点――
「そもそも、その借り方で本当に大丈夫ですか?」という話をしたいと思います。

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新聞で見かけた、ツッコミどころ満載の実話

年末の新聞を読んでいると、ある夫婦の住宅ローンをめぐる話が紹介されていました。

結婚10年。念願のマイホームを購入。
夫名義で約2,500万円の住宅ローンを組み、妻は連帯保証人に。

――ここまでは、まぁよくある話です。

ところが、購入からわずか1年後、
夫から「彼女ができたから別れたい」という、突然の爆弾発言。
説得もむなしく離婚。

当然ですが、離婚しても住宅ローンは消えません。
その後、夫の返済は徐々に遅れ、最終的には「闇バイト」に手を出して逮捕、無職に。
連帯保証人である元妻も単独ではローンを返済できず、住宅を手放す決意をするものの、
「売れるのか」「ローンを完済できるのか」――見通しは立っていないとのこと。

波乱万丈すぎて途中で何度もツッコミたくなりますが、これ、決して他人事ではありません。

実はもう「夫婦で借りる」が当たり前の時代

住宅金融支援機構の調査によると、2024~2025年に組まれた住宅ローンのうち、

  • ペアローン:25.9%

  • 収入合算:13.4%

つまり、約4割が「夫婦で借りる住宅ローン」です。

一方、日本ではよく「結婚した夫婦の約3組に1組は離婚する」と言われます。

これは「必ず3分の1が離婚する」という意味ではありませんが、
統計的には、結婚件数と離婚件数を比べると、おおむねそのくらいの割合になる、という話です。

整理すると――

  • 結婚した夫婦の3割強は離婚

  • 住宅ローンの4割は夫婦で借りている

……なかなか笑えない数字です。

ペアローンのメリットと、忘れがちなデメリット

ペアローンの最大のメリットは、借入額を大きくできること

単独ローンでは手が届かないエリアや物件が選択肢に入ります。

しかも住宅購入時は、だいたい気持ちが「ハイ」になります。
営業マンの「ほかにも検討している方がいまして…」というお決まりの一言も加わり、
冷静な判断が吹き飛びがちです(私も経験あります)。

ただし、忘れてはいけないのがデメリット。
どちらか一方が返済できなくなれば、もう一方がすべて背負うという現実です。

住宅ローンは35年が一般的。
残りの人生の大半を、「住宅ローンのために働く」可能性がある――
このリスクは、きちんと想定しておく必要があります。

「金利ある世界」が、静かに効いてくる

日銀の利上げにより、日本にも「金利ある世界」が戻ってきました。
預金金利が上がる一方で、住宅ローンの変動金利も、今後上がる可能性があります。

確かに、変動金利には

  • 5年ルール

  • 125%ルール

があり、急激に家計が破綻する仕組みではありません。
ただし、長期的には確実に効いてきます。

購入時点では問題のない返済計画でも、

ケガや病気、離職等で夫婦のどちらかの収入が途絶えた瞬間、計画は一気に崩れます。

ペアローン「否定」ではなく「覚悟」の話

アントニオ猪木の有名なシーンに、
「(試合に)出る前に負けることを考えるバカいるかよ!」
と叫び、インタビュー中のアナウンサーにビンタをかます、という場面があります。
(余談ですが、この時のビンタが後の闘魂注入ビンタの始まりだといわれています。)

この発言と同様に、住宅を買うときに、最初から「離婚するかも」と思ってローンを組む人は少ないでしょう。
そんなことを考えながら内見してたら、たぶん物件の良し悪しより気持ちが先に沈みます。

誤解してほしくないのですが、私はペアローン自体を否定するつもりはありません。

ただ、住宅ローンは――
気合いだけで完済できるほど、優しくありません。

「二人で払えば大丈夫」
「今は共働きだから」
だけで決めるのは、さすがに危険です。

35年という時間は、結婚生活も、仕事も、健康状態も、すべて変わる前提で考えるべき期間。

ペアローンを組むなら、
よくよく、よーーーく、
「最悪のケース」まで想像したうえで判断する。

それくらい慎重で、ちょうどいいと思います。

 

名古屋支店

特定社会保険労務士 山口征司

 

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