2026.03.06
公益通報者保護法改正――知らなかったでは済まされない
年初の日経新聞がまとめた「令和8年の注目トピック」の一つに、12月施行の公益通報者保護法改正が挙げられていました。
一般の生活では、あまり意識する機会のない法律かもしれません。
しかし、経営陣にとってはかなり気にしておくべき法改正です。
社労士目線で見ると、社内規程が未整備、あるいは形だけになっている企業は、
これを機に一度きちんと整えておくタイミングだと感じます。
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公益通報者保護法とは
公益通報者保護法は、企業や組織内の法令違反を早期に是正し、国民生活の安全を守ることを目的とした法律です。
不正を見つけた人が、通報したことを理由に解雇や降格などの不利益を受けないよう、通報者の保護を定めています。
この法律で押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
保護対象は幅広い
正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員、役員、公務員、一定期間内の退職者まで含まれます。保護される通報の要件
事業者の法令違反行為について、会社の内部窓口や行政機関など、適切な通報先へ行う通報が対象です。事業者がしてはいけないこと
通報を理由とする解雇・降格・減給などの不利益取扱い、通報者情報の漏えい、損害賠償請求などは禁止されています。事業者の義務
301人以上の企業は内部通報窓口の設置が必須。企業規模に関わらず、通報者を守る体制整備が求められます。
改正で何が変わるのか(重要)
今回の改正では、公益通報を「形だけの制度」にしている企業ほど影響が大きくなります。
特に押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
公益通報を理由に解雇や懲戒処分などの不利益な取扱いをした場合、
関係者に6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
民事訴訟では、通報後1年以内の解雇・懲戒は「報復」と推定されます。
「通報が理由ではない」と主張する場合、企業側がその立証責任を負うことになります。
通報を妨げる行為や、通報者を特定しようとする行為は明確に禁止されます。
企業は、通報対応を担う「従事者」をあらかじめ指定する義務があります。
これまで曖昧だったフリーランスも、保護対象に含まれることが明確化されました。
もはや「制度はあるが、運用は曖昧」では通用しません。
企業が取るべき対応
公益通報者保護規程がない場合は、新たに作成することを検討しましょう。
すでに規程がある場合でも、今回の改正ポイントを反映させた見直し・追記が不可欠です。
特に、社会福祉法人や学校法人など、定期的に行政からの監査・指導が入る組織では、制度の有無だけでなく、
実際に機能しているかが問われる場面が増えていくと考えられます。
そして、何より大事なのは――作って終わりにしないこと。
従業員に周知し、「いざというときに使える制度」になって初めて意味があります。
内部通報制度は、会社を守るための“リスク管理ツール”でもあります。
今回の改正は、その本気度が問われるタイミングだと言えるでしょう。
名古屋支店
特定社会保険労務士 山口征司
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