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2026.03.09

妊婦検診の「自己負担ゼロ」から考えるマタニティハラスメント

こども家庭庁は、妊婦健診にかかる自己負担をなくすため、全国一律の「標準額」を設定する方針を示しました。
妊婦健診の費用はこれまで自治体や医療機関ごとに差があり妊婦の経済的負担となってきましたが、

制度改正によってその是正が進められようとしています。

この動きは、単なる医療制度の話にとどまりません。
「妊娠・出産と仕事」をどう支えるかという視点で見たとき、

職場の在り方やマタニティハラスメント(マタハラ)とも深く関わるテーマです。

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妊婦検診とは

妊婦検診とは、妊娠中の母体や胎児の健康状態を確認するため、妊娠期間を通じて定期的に行われる検査です。
血液検査や尿検査、感染症の有無を調べる検査、超音波検査などを中心に、妊娠の経過に応じて検査内容は変わります。

検診は出産までにおおむね14回実施され、異常の早期発見や、安全な出産につなげる重要な役割を担っています。
一方で、妊婦検診は公的医療保険の対象外とされており、費用面の負担が長年の課題となってきました。

妊婦検診、自己負担ゼロへ

妊婦健診は、自治体の補助額に差があるうえ、

医療機関の料金もいわば「オープン価格」となっており、自己負担額にバラつきが生じていました。

今回の制度改正では、国が定める「望ましい基準」内の検査について、自己負担をゼロとすることを目指します。
診療報酬などをもとに全国一律の標準額を示し、医療機関や自治体にその水準を考慮する努力義務を課すため、

母子保健法の改正案が2026年の通常国会に提出される予定です。施行時期は今後検討されます。

あわせて、国が運営する検索サイト「出産なび」に妊婦健診の情報を追加し、

医療機関ごとの自己負担額が事前に分かる仕組みも整備されます。

働く女性を取り巻く制度は、確実に変わっている

妊婦検診の自己負担ゼロに限らず、近年は産休・育休を取得する労働者や、

時短勤務から復帰する労働者を支える制度が次々と整備されています。

一例として、育児休業は原則子どもが1歳になるまでですが、

一定の条件を満たせば最長で2歳まで取得できるようになりました。

男性の育休取得率は上昇傾向にあるとはいえ、実際には女性が制度の恩恵を受けるケースが依然として多いのが現状です。

マタハラは、悪意なく生まれることもある

産休や育休の制度は、自分が当事者のときには詳しく調べるものの、

その時期を過ぎると「自分には関係のない制度」になりがちです。

その後、身近な若手社員が産休や育休を取得する際に、
「自分の頃より恵まれている」と感じ、何気なく「今の子はいいよね」と口にしてしまうことがあります。

発言した側に悪意はなくても、言われた側が心理的なプレッシャーを感じることは少なくありません。
こうした何気ない一言が、マタニティハラスメント(マタハラ)につながるケースもあります。

だからこそ、自分が当事者でなくなった後も、

制度の概要や最近の変更点について最低限の知識を持っておくことが大切です。
知っていれば防げる誤解や行き違いは、決して少なくありません。

制度の変化は、職場の意識も問う

妊婦検診の自己負担ゼロ化は、「妊娠・出産は個人の問題ではなく、社会全体で支えるもの」というメッセージでもあります。

制度が変わる以上、職場の受け止め方もアップデートが必要です。
過去と比べるのではなく、「今の制度を前提に、どう支えるか」を考えること。
それが、職場の不要な摩擦を防ぐための第一歩と言えるでしょう。

 

名古屋支店

特定社会保険労務士 山口征司

 

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