2026.02.06
【リライト版】処遇改善等加算は最低賃金に含めてよい?現場が知るべき“現実解”
本記事は、昨年8月に最低賃金改定をめぐる実務的な論点について解説したものですが、
公開後多くの反響をいただき、先日10,000PVに到達しました。
多くの方にお読みいただき、本当にありがとうございます。
2025年度の最低賃金が正式に決定したことを受け、
予想ベースの記載を最新情報に置き換え、内容を一部リライトしてお届けします。
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最低賃金の全国平均は1,121円へ
2025年度の最低賃金が正式に決定しました。
今回の改定では、全国加重平均1,121円(前年差+66円)と、過去最大の引き上げ幅になりました。
さらに注目すべきは、全都道府県で最低賃金1,000円超えを達成した点です。
主な都道府県の地域別最低賃金
【首都圏】
東京:1,226円
神奈川:1,225円
埼玉:1,141円
千葉:1,140円
【東海】
愛知:1,140円
静岡:1,097円
岐阜:1,065円
- 三重:1,087円
【関西圏】
大阪:1,177円
兵庫:1,116円
【九州】
福岡:1,057円
最低賃金上昇が“死活問題”になる業界もある
最低賃金については「上がって当然」「賃上げは国の責任」という声もありますが、
現場では一様に歓迎されているわけではありません。
特に、保育所や認定こども園においては、
数十円の引き上げでも年間数十万円規模の人件費増につながるため、経営に与える影響は深刻です。
公定価格制度の“ねじれ”に苦しむ保育の現場
一般的な保育所や認定こども園は、「公定価格(=国が定めた報酬)」で運営されています。
つまり、最低賃金が上がっても、それを価格に転嫁する自由がないのです。
毎年、夏から秋にかけては「最低賃金が上がるが、どう対応すべきか」というご相談が多く寄せられます。
もちろん、どの業界であっても最低賃金は法令により遵守しなければなりません。
最低賃金と比較する「賃金」に含まれるもの・含まれないもの
含まれるもの
- 毎月固定的に支払われる基本給
- 固定的に支給される手当(例:特殊業務手当)
- 時間単位で定額支給される加算額
含まれないもの
- 賞与
- 時間外手当
- 家族手当、通勤手当など
処遇改善等加算は最低賃金に含めてよいのか?
では、保育業界に特有の「処遇改善等加算」はどう扱うべきでしょうか。
これは実務上、非常に誤解の多いポイントです。
結論から言えば――
処遇改善等加算が毎月固定的に支給されている場合、
または「1時間あたり100円加算」など明確な単価で支給されている場合には、
最低賃金の比較対象に含めることができます。
国のスタンス:「望ましいが、義務ではない」
この点について、平成30年の厚生労働省のQ&Aには次のような記載があります。
「当該加算額が、臨時に支払われる賃金や賞与として支払われておらず、
予定し得る通常の賃金として、毎月労働者に支払われているような場合には、
最低賃金額と比較する賃金に含めることとなる。
しかし、加算の目的等を踏まえ、最低賃金を満たした上での賃金引き上げが望ましい。」
つまり、国の基本姿勢は以下のように整理できます
処遇改善等加算を含めても、最低賃金違反にはならない
ただし、本来の目的を考えれば“含めない形”でクリアするのが理想
実務対応:現実と理想のバランスをどう取るか
実際の保育現場では、「加算を含めない形での最低賃金クリア」は簡単ではありません。
財源が限られている中で、処遇改善等加算を除いた給与水準を確保するには、工夫と支援の両輪が必要です。
そのため、処遇改善等加算を含めて最低賃金を満たしていることが法令違反にはあたらないこと、
そして「含めない形」が“努力目標”であることを理解しておくことが大切です。
専門家のサポートが不可欠な時代に
保育業界では、制度や加算の仕組みが複雑化しており、
単に「時給をいくらにするか」だけで解決できる問題ではありません。
当法人では、最低賃金改定を踏まえた賃金設計の検討に加え、
ゆびすいグループとして、資金繰りや人件費比率の調整など、
経営判断に必要な数字の整理と見える化を通じたサポートを行っています。
制度対応から経営面の整理まで、お困りの際はお気軽にご相談ください。
名古屋支店
特定社会保険労務士 山口征司
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