2026.02.18
人事院勧告分5.3%のその後対応 -賃金規程の整備・求人票への反映・賞与設計の確認ポイントー
先日、第一部として『処遇改善の一本化』について配信させていただきましたが、
今回は第二部として『人事院勧告分』についてご案内をさせていただきます。
前回は、速報として昨年の11月末頃に【今年度の人事院勧告分5.3%をどう支給するか】という観点から、
「令和7年度分:3月賞与等での支給方法」及び「令和8年度以降分:月例賃金への組み替え方法」についてご案内いたしました。
今回は、その後の実務として重要になる、
「賃金規程・就業規則の整備」「求人票への反映」「賞与の運用確認」という3つの視点で整理してお伝えします。
1.賃金規程・就業規則に「人勧分」をどう位置づけるか
(1)どこまで規程に書くべきか
人勧分を“基本給に組み込む”、“新たな月額手当(人勧分手当・処遇改善調整手当 等)とする等”の、
いずれの方法をとる場合も、継続的に支給するのであれば賃金規程への明記が必要です。
特に、“手当の名称”、“支給対象者(正職員のみか、パートも対象とするか等)”、
“支給額または算定方法(例:職務・経験年数に応じた定額/基本給に対する〇%等)”、“
支給条件(フルタイム・短時間職員の按分方法等)”は、
職員の皆様から見ても分かる形で記載しておくことが望まれます。
(2)昇給・減額のルールとの整合性
基本給に組み込む場合、「本俸表」の改定や「昇給」の規定との関係を整理しておく必要があります。
昇給については、「毎年4月に必ず昇給する」などと書かず、「業績および勤務成績等を勘案し、
必要に応じて昇給を行うことがある」といった定め方にしておくと、
人勧分の増減や園の経営状況に応じた見直しがしやすくなります。
一方で、“実際には昇給や人勧分の見直しがほぼ毎年行われている”、
“職員にも「毎年必ず上がるもの」との受け止めが強い”といった場合は、
事実上の「慣行」になっていないかも含めて検討されると良いかと思います。
2.求人票・採用時の説明への反映
人勧分を月例賃金に組み替えた場合、「求人票」「採用時の条件説明」にどう反映させるかが、
今年以降の採用力を左右します。
(1)求人票に載せる際の留意点
求人票は法律上の「労働条件通知書」そのものではございませんが、
“面接時の説明内容”、“実際の支給実態“とあわせて、黙示の合意内容とみなされる可能性があるため、
実際に支給する賃金構成と大きなズレがないようにしておく必要がございます。
特に以下の点は意識されると良いです。
・「基本給+処遇改善手当+人勧分手当」など、構成を分かるように明示する。
・「賞与○か月分(ただし、処遇改善・人勧分等一時金を含む/含まない)」をはっきりさせる。
・面接時には、求人票と同じ内容で説明するか、変更がある場合はその場で説明し、
労働条件通知書で最終条件を書面で明示する。
(2)「公立や他園との比較」を意識した説明
求職者からは、「公立や他園と比べて年収はどうか」、「賞与と月給のバランスはどうか」という質問・確認が増えています。
そのため、“自園で働いた場合の「モデル賃金(1年目・5年目など)」”、“処遇改善・人勧分等を含めた年間概算額”を、
法人内で一度は試算しておくことをおすすめします。
これにより、面接時に一貫した説明がしやすくなります。
また見える化によりここdeサーチでも公表されているので他園の動向等見ることも重要です。
3.賞与で人勧分を扱う場合のポイント
今年度分(令和7年度分)については、3月賞与に上乗せして支給される園も多いと思われますが、
賞与規程上の位置づけを確認しておくと安心です。
(1)「賞与」として払うのか、「一時金」として払うのか
就業規則上、“「賞与」として定義しているものに含めるのか”、“「特別一時金」「人勧一時金」など、
名称を分けて支給するのか”により、今後の義務性・慣行のリスクが変わってきます。
毎年同じタイミング・同じ考え方で支給すると、「慣行」と評価され、今後も同様の支給が求められる可能性があります。
今年度に限った特例であれば、「令和7年度の人事院勧告に伴う特例一時金であり、以後は状況に応じて見直す」、
といった位置づけを、就業規則の解釈や法人内の説明で明確にしておくことも考えられます。
(2)賞与規程との整合性
既存の賞与規程に、“支給対象者”、“査定期間”、“支給しない場合(業績不良、出勤率等)の定め”がある場合、
そのルールと人勧分の一時金がどう関わるかを整理しておく必要があります。
<例>
・通常の賞与は人事考課を反映するが、人勧分一時金は一律支給とする
・産休・育休・長期欠勤中の方への取り扱い(在籍要件・日割り計算の有無)をどうするか
賞与の位置づけによっては、“出勤率要件や評価結果を人勧分にまで適用するのか”、
“あるいは「制度趣旨が異なる」として区分して考えるのか”の整理が必要となります。
4.今のタイミングで確認しておきたい「園内整備チェック」
人勧分の5.3%対応に際し、次のような点を一通り確認しておかれると、今年度以降の運用がスムーズになります。
ご参考にしていただけますと幸いです。
項目 | 確認内容の一例 |
給与規程 | ・人勧分を反映した基本給・手当の構成が明文化されているか |
昇給 | ・「昇給あり」とだけなっていないか(運用との整合性はどうか) |
賞与 | ・人勧分を賞与で支給する場合の位置づけが整理されているか |
求人票・採用資料 | ・新しい月例賃金・賞与水準を反映できているか |
年度末でお忙しいかと存じますが、このタイミングで是非見直しを検討してみてください!
ご不明点等ございましたら弊社担当社労士へお気軽にお申し付けください。
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東京支店
社会保険労務士 岡村 圭祐
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