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2026.02.25

みなし労働という悪魔

高市首相が、裁量労働制の見直しを進める方向性を示しています。

裁量労働制とは、いわゆる「みなし労働時間制」です。

まだ元号が平成であったころから始まった働き方改革は、いよいよ、みなし労働という長時間労働の温床にも切り込もうとしています。

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裁量労働制とは

本来、労働とは会社が業務の進め方や時間配分を指示するものです。

しかし中には、労働者本人の裁量に委ねた方が効率のよい仕事もあります。

成果物で評価される仕事や、研究職、企画職などが挙げられます。

そうした職種について、実際に何時間働いたかにかかわらず、

「あらかじめ定めた時間働いたものとみなす」制度が裁量労働制です。

規制緩和が向かう先は

高市首相が就任時に打ち出された「労働時間規制の緩和検討」。
今回の動きは、単なる抽象論ではなく、より具体的な制度改正を視野に入れたものとみられています。

現時点では詳細な方向性は示されていません。
ただ、「労働時間規制の緩和」という言葉だけを見れば、

企業側がより柔軟に労働時間を設定できる方向に進む可能性は高いでしょう。

言い方を変えれば、長時間労働を制度上、より認めやすくなる設計になるのではないか、
という懸念も自然に浮かびます。

誰にとって嬉しい制度か?

もちろん、業務時間の自由度が高ければ、働く側にもメリットはあります。

しかし実態としては、残業代を圧縮しながら長時間労働をさせるような、悪用に近い運用が広がっているのも事実です。

高市首相は昨年10月にも、

「裁量労働制で残業代が減ることによって、生活費を稼ぐために無理をして慣れない副業をする」

と国会で答弁しています。

働き方改革の柱の一つは「長時間労働の是正」です。

もともと裁量労働制は長時間労働の可能性を内包しているため、導入手続きや健康確保措置は厳格に定められています。

しかし、それらの制約が形骸化しつつある今、見直しが注目されるのは必然だったのかもしれません。

働き方改革は誰のためか?

もともと、経済成長戦略の一環として始まったのが働き方改革でした。

労働による生産性を高めるには、働く人の視点に立つことが不可欠です。

ただ「働け、たくさん働け」と言うだけでは、働く側は労働をつらいものと感じるだけでしょう。

北風と太陽の逸話のように、どれほど理屈が正しくても、厳しくするだけでは人は動きません。

裁量労働制は武器にも毒にもなる

裁量労働制の議論で重要なのは、「規制緩和か、規制強化か」という二択ではありません。
本質は、制度の名称ではなく、運用の中身です。

裁量労働制は、成果で評価される仕事においては大きな武器になります。
しかし運用を誤れば、単なる「残業代の出ない長時間労働」を合法化する道具にもなり得ます。

今後制度が見直されるなら、企業側には「働かせ方の自由度」ではなく、

「健康を守りながら成果を出す仕組みづくり」がこれまで以上に問われるでしょう。

 

東京支店
社会保険労務士 篠原里奈

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