2026.03.05
【働き方に影響】扶養の収入判定が明確化&在職老齢年金の基準引上げ
今回は、労務管理に関わる重要な法改正として、次の2点をご案内いたします。
① 健康保険の被扶養者認定における「年間収入」の取扱いの明確化
② 在職老齢年金の支給停止基準の引上げ
いずれも職員の働き方や収入設計に影響する内容ですので、ぜひご確認ください。
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■ ① 被扶養者認定の「年間収入」取扱いの明確化(令和8年4月1日適用)
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被扶養者の認定では、「年間収入が一定額未満であること」が要件となります。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202512/1225.html
【改正前】
過去・現在・将来の収入状況を総合的に判断し、「今後1年間の収入見込み」が基準額未満かどうかで判定していました。
そのため、契約上は基準額未満であっても、収入変動がある場合は判断が分かれることがありました。
【改正後】
労働条件通知書等で確認できる賃金(手当・賞与含む)から見込まれる年間収入が、130万円未満(※)であり、
他に収入が見込まれない場合は、原則として被扶養者に該当すると明確化されました。
(同一世帯の場合は被保険者収入の2分の1未満など、従来の生計維持要件は引き続き確認されます)
※60歳以上または一定の障害者:180万円未満
※19歳以上23歳未満(配偶者除く):150万円未満
また、一時的な残業や臨時手当などにより結果的に基準額を超えた場合でも、
社会通念上妥当な範囲であれば、直ちに扶養から外す必要はないと整理されました。
【実務上のポイント】
- 労働条件通知書等で契約内容を確認
- 「給与収入のみ」である旨の申立てが必要
- 契約更新や条件変更があった場合はその都度確認
本取扱いは令和8年4月1日から適用されます。
なお、パート職員の勤務時間変更や収入増加を予定している場合は、
扶養認定に影響する可能性がありますので、事前に年間収入見込みを確認のうえ、
必要に応じて配偶者を通じて加入先の健康保険組合等へ認定基準や必要書類を確認されることをおすすめします。
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■ ② 在職老齢年金の支給停止基準の引上げ
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在職老齢年金とは、60歳以降に厚生年金に加入しながら働く場合に、
「給与」と「老齢厚生年金」の合計額が一定額を超えると、年金が一部減額される仕組みです。
(給与とは毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額をさします)
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairoukaisei.html
【改正前】
給与と老齢厚生年金の合計が月額51万円超の場合、超えた分の2分の1が老齢厚生年金から支給停止となっていました。
【改正後】
この基準が引き上げられ、月額65万円超で支給停止となります。
これにより、従来より高い収入水準まで年金が減額されにくくなり、シニア職員の働き方の選択肢が広がることが期待されます。
再雇用職員の賃金設計にも影響する可能性があります。
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いかがでしたでしょうか?
今回の改正はいずれも、職員の収入に直結する重要な内容です。
扶養内勤務の職員や、年金を受給しながら働く職員がいる場合は、早めの確認をおすすめいたします。
ご不明点がございましたら、担当社労士までお気軽にご相談ください。
【ご意見・気になる労務情報フォーム】
https://forms.gle/UMsYU7aQnaJhQ1EA8
東京支店 川端琉凪
