令和６年から始まった新ＮＩＳＡ（少額投資非課税制度）に早くも見直し案が出ています。「プラチナＮＩＳＡ」という名称の65歳以上向けの新たな制度をつくる構想です。

　現在はＮＩＳＡの対象商品から外れている「毎月分配型」の投資信託を商品に加えるというのがその内容です。しかし、ＮＩＳＡは「中長期的な資産形成を応援します」というコンセプトで始まっていますので、投資信託の運用で出た利益を分配金という形で受け取ってしまうと、長期運用の魅力の一つでもある複利効果が薄れますので、そのコンセプトを政府自ら否定しているような気もします。

　一方で、投資信託を「毎月、分配金が入るから」という理由で購入している人も少なからず存在していることも事実です。65歳という年齢は老齢年金の受給開始年齢と一致します。年金以外の定期収入が入ることに魅力を感じる層にアプローチしたい意図が透けて見えます。

　しかしながら、毎月分配型の投資信託の中には、運用益ではなく元本を取り崩して分配金に充てるような商品も存在します。「毎月、分配金が出ます」と、金融機関に勧められたので購入したはいいが、内容を理解しておらず、実は元本を取り崩しているだけであるのに、毎回利益が出ていると勘違いしている高齢者も多いようです。

　人生100年時代の今、いわゆる「長生きリスク」に備えるためにもＮＩＳＡや確定拠出年金等を利用した自助努力で資産形成をすることが必要です。各種制度の利用には個人が「正しい知識」を得ることが求められます。また、職場においても仕事に必要な知識の研修だけではなく、従業員の「金融リテラシー」の向上を目的とした勉強会や研修を行うことで、職場に対する満足度の向上や離職率の低下に繋がる効果も期待されます。

　ゆびすい労務センター（https://yubisui-r.jp/training/）では、労務相談や給与計算業務の代行、就業規則の作成等の業務の他にも、従業員研修もオーダーメイドで承っております。是非、ご相談ください。

名古屋支店　山口　征司